十勝いけだ屋ストーリー

第 2 話

二つの川が育んだ肥沃な大地で作る 我が家のじゃがいも、すごい!
(株)まつうらファーム
松浦 知見
看護師から農業へ、畑違いの畑仕事。
勝で生活をしていると、野菜のおすそ分けに遭遇する機会は多い。なかでも農家は、畑で収穫したものにくわえて自家菜園の野菜が食卓を彩る。産地直送の野菜を食べて育った子どもたちは、もしかしたら舌が肥えているのかもしれない。松浦知見(さとみ)さんもそうだ。

池田町で農業を営む松浦家の次女として生まれた松浦さん。高校まで池田町で暮らし、卒業後は帯広市の看護専門学校へと進学した。市内の総合病院に就職後、人工透析や脳外科などの場で看護師として8年間勤務したという。結婚を機に実家へ戻り、就農。小学生の頃にビートの補植やじゃがいもの選果を手伝った経験はあったが、「まさか自分が農業をやることになるとは」と当時は思っていたそう。

最初は母のサポートからスタートしたといい、機械の後ろを歩いて草を取る地道な作業が多かった。看護師の仕事では、同期や同僚との会話がストレス解消法のひとつなのだが、就農してからの話し相手は母親のみ。会話の弾まない日もあっただろう。それでも地道に続けてまもなく8年が経とうとしている。

一度帯広へ出て池田に戻ってきて、気づいたことがあるという。「帯広暮らしているとき、スーパーで買ったじゃがいもがびっくりするほどおいしくなかった。そのとき初めて『うちのじゃがいもっておいしいんだ』と気づきました」。幼い頃から食卓に並んでいた我が家のじゃがいも。「あたりまえ」がどれだけ価値のあることなのか、気づいたのだ。

まつうらファームのある川合地区は、その名の通り十勝川と利別川が合流する三角州のような場所にある。過去には何度も川の氾濫が起きていて、水害に泣かされ続けた農家も多いという。しかし、度重なる氾濫は畑を肥沃な大地へと成長させた。代々続く松浦家ならではの技法と恵まれた土地が融合し、優秀な種いもを育てることができるのだという。

農協以外に販路を設けて、農産物を出荷する十勝いけだ屋の面々を見て「楽しそうだな」と思っていた松浦さん。普段生産している種いもと違い、消費者からの声を直接聞ける機会を心待ちにしている。

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